Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 昭彦 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
武田 功 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (00163402)
近藤 浩代 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (50333183)
毛利 聡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (00294413)
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Research Abstract |
廃用性筋萎縮の予防法としてプレコンディショニング運動の制御機構について,タンパク質分解に作用するユビキチン・プロテアソーム系,及びタンパク質新生・修復に関与する分子シャペロン機能について検討した.ラットを用いて,1)2週間の尾部懸垂群(HS),2)HS直前にトレッドミル走行を行い2週間の尾部懸垂をした群(ExHS),及び3)対照群に分類した.ヒラメ筋を摘出して,筋原線維タンパク質量を計測し,リアルタイム定量PCR法でユビキチンリガーゼE3,及び熱ストレスタンパク質(HSP)72のmRNAを測定した.筋原線維タンパク質量はHSとExHSで有意な低下を示したが,ExHSではHSに比較して有意に高値を示した.一方,ユビキチンリガーゼE3 mRNAはHSで有意に増加し,ExHSでは増加を示さなかった.また,HSP72 mRNAはHSで有意に減少し,ExHSでは減少が抑制された.プレコンディショニング運動はユビキチンリガーゼE3の活性化を抑制し,熱ストレスタンパク質の低下を減衰させた.これらの結果からプレコンディショニング運動は尾部懸垂中の筋タンパク質分解系の活性化を抑制する制御機構が作用する示唆している,また,廃用性萎縮筋における毛細血管,及び血管増殖因子の変化について,ラット後肢懸垂モデルを使用して検証した.筋線維あたりの毛細血管数を示す毛細血管・筋線維比も,廃用性萎縮筋では23%の減少を示した.骨格筋細胞における酸化的リン酸化反応を示すコハク酸脱水素酵素活性は,廃用性萎縮筋で低下し,骨格筋細胞の代謝活性が低下していることを示唆した.また,低酸素で誘導されるHIF1-αmRNAは廃用性萎縮筋では変化せず,血管増殖因子VEGF mRNAやVEGFタンパク質は有意に低下を示した.これらの結果から,廃用に伴う不活動は骨格筋細胞の酸化系酵素活性を低下させると共に,毛細血管の退行的なリモデリングを発生させることを明確にした.また,その背景として,血管増殖因子の減少が関与していることを示唆した.
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