2007 Fiscal Year Annual Research Report
装置入力デバイスへの応用を目的とした障害者の音声ホルマントに関する研究
Project/Area Number |
19650154
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
上見 憲弘 Oita University, 工学部, 准教授 (70280857)
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Keywords | ユーザインタフェース / 医療・福祉 / 計測工学 / 音声 / リハビリテーション / ホルマント / 発話補助 |
Research Abstract |
汎用性の高い障害者用装置入力デバイスを開発することを目的に、比較的単純な音声情報の一つであるホルマントを利用した装置入力デバイスについて検討している。本年度は、まず健常者において口腔を無理のない範囲で自由に変化してもらいながら発声を行わせ、そのとき生成されるホルマントの範囲について調べた。その結果、その範囲の個人差とホルマントを生成しづらい箇所について明らかにすることができた。特に日常会話で用いられていないところが生成しづらい傾向にあった。そこで、実際に被験者のホルマントの情報をディスプレイ上のポインタの位置情報に変換するシステムを作成し、視覚的に確認できる状態にすることで、ホルマントを生成できる範囲やその制御性に与える影響を調べた。普段の発声に利用していないホルマントを生成することも要求されるため、生成できるホルマントの位置の訓練による変化を探ることができる。実験を繰り返すことでより広い範囲でホルマントを生成できたが、訓練によっても生成しづらい範囲があることも明らかになった。汎用性の高く訓練の少ない装置入力デバイスを考える上で、ホルマントと装置入力デバイス間の変換方法について工夫が必要であることが示唆された。上記健常者の結果は、システムを考える上での基礎データとして役立つと考えている。また、運動機能障害者についても数例であるがホルマントの評価を行った。障害の程度による検討を行うにはまだ例数が少なすぎるが、ホルマントを実験者の指示に従って生成するのは難しく、予想はしていたが、ホルマント抽出のための発声音源やマイクロホンの設置方法などについても早急に検討する必要性が明らかになった。この件については並行して行っている人工喉頭の研究成果も利用する。また、健常者用の音声認識システムを障害者に適用する時の基礎データに役立てることも念頭に置きながら今後研究を進めていく。
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