2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650158
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
福場 良之 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (00165309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 義之 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (20265028)
青木 朋子 熊本県立大学, 環境共生学部, 講師 (50433412)
林 直亨 九州大学, 健康科学センター, 准教授 (80273720)
三浦 朗 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30190581)
遠藤 雅子 (山岡 雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (30336911)
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Keywords | 運動 / パフォーマンス / 視覚的情報 / 走行面勾配感覚 |
Research Abstract |
低強度での定常状態の自転車運動中,すなわち生体内部の求心性情報はほぼ一定になっていると仮定される状況下で,視覚による走行勾配感覚変動を付加すると,生体がどのような応答を起こすかについて検討した。結果として,一定負荷の定常状態運動であるにもかかわらず,坂道走行勾配感覚をサイン波状に変動させると血圧や心拍数といった循環諸変量に変動が生じ,求心性情報の付加が生体応答に影響を及ぼすことが明らかになった。次に,より実際的な立場から,最大運動のパフォーマンスに対する視覚的な坂道走行勾配感覚の影響を検討した。ほぼ2-3分で疲労困憊になる運動強度の自転車エルゴメータ運動を、被験者は前方の大型スクリーンに映写された道路面走行動画を見ながら疲労困憊まで行った。提示した視覚的条件は,道路面が終始平坦な動画である対照条件,運動の終盤に平坦から走行角度が徐々に上っていく上昇条件,徐々に下がっていく下降条件の3種類であった。運動前にSTAIを尋ねた。運動中の生体応答として,ガス交換諸変量や心拍数を連続測定した。運動終了後に,対照条件に対する上昇・下降両条件での主観的な運動遂行感覚を質問した。結果は,走行勾配感覚提示の違いが最も大きいと想定された上昇条件と下降条件での運動継続時間を比較したところ,有意な差はなかった。主観的な運動遂行感覚(相対的に楽に感じるか)が,被験者によって上昇・下降の両条件間で異なったため,「楽に感じた条件(E条件)」と「きつく感じた条件(H条件)」に分けて運動継続時間を比較した。その結果,E条件はH条件に比べて,運動継続時間が有意に延長した。疲労困憊時の生理的応答には大きな違いは見られなかった。これらのことにより,最大努力の自転車こぎ運動時において,走行面勾配という視覚的感覚を人為的に変化させると,運動パフォーマンスに変化の生じることが示唆された。
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