2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高見 和至 Kobe University, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50236353)
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Keywords | 山岳修行 / 修験道 / 参加観察 |
Research Abstract |
3ヶ年計画の初年度となる平成20年度は山岳修行を実施している国内の代表的な宗教法人が主催する行事への参加観察を行い、山岳修行行事の概要、参加者の属性を把握することに努めた。参加した行事は西日本に本部がある宗教法人が主催する2つの山岳修行と寺院内での行事である。筆者自身が一修行者として同行する参加観察を行った結果、山岳修行の実態について以下のことが分った。 1.山岳修行行事の運営主体としては、修験道の宗教法人である寺院が主催し、所属する僧侶の宗教行事として行われている。また運営は本山の寺院に所属する僧侶と本山の系列に所属する寺院の住職、法名を持つ在家信者が中心的役割を担っている。 2.参加者は上述の本山ならびに系列寺院の僧侶、法名を有する在家信者のほかに一般の信者も参加している。さらには修験道が信仰の対象には至っていないが山岳修行の体験を希望する一般市民まで多様に構成されている。 3.山岳修行は修験道の僧侶が行う宗教行事ではあるが、修行の基本的精神として、他人を援助し奉仕する「利他行」が根底にある。そこで修行に参加することに関しては、僧侶、信者、一般市民の区分を行わず、「全員が山に入る修行者で、経験に応じて活動する」という理念が共有されている。この特徴が近年の一般参加者の増加の要因になっていると考えられる。 尚、本年度は、本研究のフィールドワーク中の筆者自身の事故により研究計画に則った遂行が不十分な結果となった。また宗教法人が団体として運営されている都合上、調査対象者の抽出が困難であることが研究遂行上の課題として明かになった。平成20年度はフィールドワークの範囲を拡大し、調査対象者に任意に協力してもらえる方策が必要である。
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