2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中島 信博 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 教授 (80005826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 昂 東北大学, 名誉教授 (10005754)
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Keywords | 公共性 / スポーツ / 地域社会 / 農村 / 娯楽 / 住民主導 / 住民参加 / 総合型 |
Research Abstract |
本研究の主要目的は、地域住民がイニシアティブをとるような、住民参加型の地域スポーツについて、その基本的システムを構想することにある。そこで全体を理論面と実証面に分けて実施してきた。 まず理論面については、これまでの先行研究について検討を行ったが、たんに体育・スポーツに直接的に論及している研究にとどまらず、より広い視点から情報の収集を行ってきた。つまり文部科学省が社会体育行政として展開してきた諸施策をめぐる論議に限定することなく、時間軸でいえば伝統的な娯楽というような、より長いタイムスパンでとらえる必要があること。また空間軸でいえば、たんに社会体育行政としてせまい領域に限定せずに、地域に形成されてきたいくつかのセクターやアクターをも視野に入れる地域ベースの包括的把握をする必要があることも見いだしている。初年度であっだので情報の収集におわれ、その整理をより体系的に行う必要があるものの、一定の方向性を見いだせたと思われる。 理論の彫琢に関連して付言すれば、海外の研究者との意見交換に相当の努力を傾注した。英国ではロンドン大学を中心に、またアメリカ合衆国では、テキサス大学、テンプル大学その他の、いずれもフィールドワークを研究の核としている研究者にインタビューを行い、これによって理論的な問題群について、また研究の方法論について多くの示唆を得ることができた。 実証面では、山形県の庄内地方において、歴史的資料の収拾と、特に実践家からの聞き取りを継続している。そもそもこの地域については独自の蓄積をこれまでも行っており、農村の伝統をいかしつつ、変貌激しい生活の再編に向けて多様な取り組みがなされてきたその様相を詳細に把握しつつある。なかでも、地域スポーツという現代的な課題に、伝統的な知が生かされていることが明らかになってきた。 他方の都市的な地域での実証では、宮城県塩釜市でのNPO的実践をも視野に入れているが、ここでのインタビューからは、農村とは対比的な特性を抽出し、こうした比較から上記の理論をさらに深化させることができた。
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