2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650177
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤本 敏彦 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 講師 (00229048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 准教授 (00333477)
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Keywords | 運動 / PET / 脳活動 / 情動 |
Research Abstract |
【目的】本研究はヒトを対象に、ポジトロン断層法(PET)と糖の疑似体である^<18>F-フルオログルコース(^<18>F-FDG)を用いて、運動後の10分目の脳活動を観察することであった。【方法】被験者は健康な男子大学生14名(年齢20.9±1.3歳、最大酸素摂取量43.3±4.7ml/kg/min)であった。被験者は運動実験と安静実験の2回の実験に参加した。運動は最大酸素摂取量(VO2max)の55%強度での35分間の自転車運動であった。運動終了10分後に^<18>F-FDGを肘動脈より投与し、その後約30分間の安静を取った。安静終了後、脳のPET撮影を開始する。安静実験では30分以上の安静の後、^<18>F-FDGを投与し、その後さらに約30分間の安静を取った。また運動における情動の変化は質問紙MCL-2を用いて評価した。【結果】本研究では運動後に爽快感の改善が認められた。しかし脳領域との関連は認められなかった。相対的糖取り込みは運動後に、安静時と比べ運動野において有意な現象が認められた(p0.05)。また絶対的糖取り込みは運動後に広範囲の脳領域で低下が認められた。【考察】運動後の情動変化は改善したが、辺縁系などの情動に関わる領域との関連は認められなかった。しかし運動後に脳の糖取り込みは劇的に変化しており、その発見は生理学的に非常に貴重なものである。運動後に運動野で相対的糖の取り込みが減少したことは現状で2つの可能性が考えられる。一つは糖の変わりに他のエネルギー源、例えば乳酸が運動野で積極的に使われていることである。またもう一つは運動野の神経活動が低下している可能性である。運動に活動が高まる脳領域の糖代謝能が選択的に変化することは全くの新しい発見である。また運動後の全脳の絶対的糖取り込みは全脳で減少している。脳全体でエネルギー供給機構に変化が起きている可能性を示唆するものである。
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