2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハムストリングスの機能分担と肉離れの発症メカニズム
Project/Area Number |
19650179
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福林 徹 Waseda University, スポーツ科学学術院, 教授 (70114626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
創持 梨恵子 平成帝京大学, 現代ライフ学部, 助教 (00386658)
井田 博史 神奈川工科大学, 研究員 (20392194)
奥脇 透 早稲田大学, 国立スポーツ科学センター, 研究員 (20274871)
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Keywords | スポーツ障害 / スポーツ生理学 / トレーニング科学 |
Research Abstract |
本年度は予定した3種類の実験のうち,肉離れ時のビデオ解析の解析とMRIを用いたハムストリングスの機能分化に関する実験の2種類の実験を行った.肉離れのビデオ解析は2件しか撮影できず3次元解析を行う事が出来なかった.この2件はいずれも坐骨結節のハムストリングス付着部からの剥離を示した重症例で,股関節の急激な屈曲が関与していた.MRI用いたハムストリングスの機能分化に関する実験ではハムストリングスに強い伸張性収縮を繰り返し加えることにより,3日後にCPK値の上昇,半腱様筋と薄筋を中心とした選択的な遅発性筋痛の出現,MRIでのT"2強調画像の半膜様筋と薄筋の高輝度陰影,同筋のT2時間の延長をみたが半膜様筋と大腿二頭筋の変化はきわめて軽微であった.特に半腱様筋では,そのT2値は正常の2倍近くに達し,正常化するまでに10日間近くを要した。一方ハムストリングスに強い短縮性収縮を加えた場合,浅い膝屈曲角度では半膜様筋と大腿二頭筋が働いたが,深い膝屈曲角度では半腱様筋のみが主として働き半膜様筋と大腿二頭筋の筋活動は著しく減少した.またMRI状の高輝度陰影の出現はなかった.JISSでの100余件のハムストリングス肉離れのMRI画像解析では,ハムストリングスの肉離れの発生頻度が大腿二頭筋と半膜様筋に圧倒的に高く.半腱様筋がきわめて低いことが証明された.これらの事実より肉離れは,通常強い伸張性収縮にさらされない大腿二頭筋と半膜様筋が何らかの原因で,突然伸張生収縮を受けるために生じるのではないかと推定される.
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