2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の転倒による大転子骨折予防のためのエアバッグ式ヒッププロテクターの開発
Project/Area Number |
19650187
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
出村 慎一 Kanazawa University, 人間科学系, 教授 (20155485)
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Keywords | 高齢者 / 転倒 / ヒッププロテクター / 老化 |
Research Abstract |
本研究では大転子及び仙骨を保護するエアバッグ式ヒッププロテクターを開発することを目的としている。本年度は、まず昨年度実施した転倒誘発局面の動作解析を実施し、転倒動作特性を明らかにした。動作特性として、腰より上部の動作が転倒時に特徴的な動作を呈することから、エアバッグ開放トリガーとして、腰部に焦点を当てて検証した。転倒発生時の腰部の落下速度、および加速度を明らかにするために、若年者を対象として転倒・転落実験を実施した。被験者は不安定台(T字台)上に静止立位姿勢を保持し、台足を急激に引き倒す外乱刺激を発生させた。外乱発生から転倒までの加速度を3軸加速度測定器(MA-3-20Ac, Microstone)によりサンプリング周波数200Hzにより測定した。加速度解析の結果、台からの転落時の最大加速度は12.5^-26.3m/sec^2、最大値に到達するのは着床前0.432^-1.478秒の間であることが確認された。エアバッグ開放までの時間が0.3秒程度であることから、最大加速度はエアバッグ開放のトリガーとなりうることが示唆された。しかしながら、転倒時の最大加速度は個人差が大きく、開放閾値の設定にはさらなる検証が必要と判断された。また、センサーを腰部に取り付けたため、股関節戦略で姿勢保持を図ろうとする場合、姿勢保持できていても腰部動作の加速度は大きかった。すなわち、開放閾値の設定によっては姿勢保持限界を突破する前に開放してしまう誤作動が生じる可能性がある。したがって、エアバッグ開放には腰部の加速度以外のトリガーを設定する必要があると考えられた。今後、さらに転倒誘発局面の動作特性を検証し、エアバッグ開放トリガーとなる動作、閾値、およびプロテクトすべき部位などを明らかにする。
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