2007 Fiscal Year Annual Research Report
サルコペニア進行の予測マーカーとしてのACTN3遺伝子型の活用
Project/Area Number |
19650192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内藤 久士 Juntendo University, スポーツ健康科学部, 准教授 (70188861)
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Keywords | 遺伝子 / 老化 / 骨格筋 / 筋萎縮 / 介護予防 |
Research Abstract |
加齢とともに骨格筋の質的量的な低下が生じるが,この現象はサルコペニアと呼ばれており,高齢期の活動性と密接に関係する。サルコペニアは速筋線維の加齢性の萎縮に主として起因したものであることが示唆されており,加齢に伴って速筋線維の動員を要するような強い運動が減少する事がその一因とされている。そこで本研究では,骨格筋内のαアクチニン3タンパク質の発現調節に関わるACTN3遺伝子が速筋線維中にしか発現していないことに着目し,この遺伝子が将来のサルコペニアの進行しやすさを予想するマーカーとなり得るかどうかを明らかにすることを目的とした. 本年度は,ACTN3遺伝子型と健康に関わる体力要素との関わりについて過去にさかのぼって検討した。10年前に開催された運動教室に参加したことのある高齢女性(現在の平均年齢88歳:n=22)を対象としてACTN3遺伝子型を分析したところ,RR型4名,RX型9名,XX型9名の分布であった。彼女たちの10年前の歩行速度を調べたところ,普通歩行速度には違いが見られなかったが,最大歩行速度はRR型1.2m/秒,RX型1.2m/秒,XX型1.4m/秒で,XX型の群が有意に速く歩くことができた。また,股関節の伸展力も有意にXX型群が高い値を示した(RR型0.86Nm/kg,RX型0.83Nm/kg,XX型1.09Nm/kg)。これらの結果は,ACTN3遺伝子型の違いによって高齢期の身体諸機能や活動性に違いが存在する可能性を示唆するものであった。 今後さらに被験者数を増やし,また体力測定を受けることのできる高齢者の遺伝子型の分布が先行研究に見られるACTN3の一般的な分布と異なるのかどうかの検討が必要であることが課題としてあげられた。
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