2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における動脈硬化予防に最適な身体活動ガイドラインの作成
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19650194
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
柿山 哲治 Kwassui Women's College, 健康生活学部, 准教授 (10255242)
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Keywords | PWV / 年間平均歩数 / 3METs以上の平均活動時間 / ライフコーダ / 大動脈伸展性 |
Research Abstract |
習慣的な身体活動は加齢に伴う動脈伸展性の低下抑制に重要な規定因子であるが、抑制効果を及ぼす動脈部位、効果的な身体活動の量および質については明らかにされていない。本研究では、高齢者における身体活動量および質が部位別動脈硬化度に及ぼす効果について検討した。65歳〜86歳までの高齢者162名(男性71名、女性91名)を対象に、加速度計付体動計を1年間装着し、身体活動量(1日当たりの平均歩数)および質(3METs以上の平均活動時聞)を算出した。動脈硬化度の評価にはPWV法を用い、心臓-頸動脈(hc)、心臓-大腿動脈(hf)、心臓-上腕動脈(hb)、大腿動脈-足首(fa)問の脈波速度(pulse wave velocity:PWV)を測定した。その結果、年間平均歩数および3METs以上の平均活動時間はhfPWVとの間に有意な負の相関関係を示した。また、この関係は性、年齢、SBPの影響を除いても顕著であった。さらに、年間平均歩数および3METs以上の平均活動時間を少ないほうから四分位に分けhfPWVを比較すると、身体活動の量・質ともに最も少ないグループのhfPWのみが他の3グループと比較して有意に高い値を示した。すなわち、(1)高齢者における日常の身体活動が動脈硬化抑制に及ぼす部位は、大動脈のような弾性動脈で顕著である。(2)高齢者における身体活動は量・質ともに、大動脈硬化の独立した規定因子となり得る。(3)高齢者において身体活動が量・質ともに極端に低下すると大動脈硬化が進展するものの、一定の身体活動量(5000歩/日以上)および質(10分/日以上)を確保(年間を通して継続)することにより大動脈伸展性の低下が抑制される可能性が示唆された。以上のことから、高齢者の大動脈伸展性低下に伴う心臓血管病の罹患率や死亡率を抑制するには、量と質を考慮したある一定水準の身体活動を保持することが重要であると考えられた。
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