Research Abstract |
本研究はより使いやすく,身体,環境に優しく安全で,かつ歯石を除去する洗浄効果の高い義歯洗浄剤の開発を試み,従来の薬剤成分の反応による洗浄作用も考慮した上でさらに,自然水を電解処理によって毛細管現象を与え,浸透洗浄を行うようにした電気分解水の使用も考慮して行ってきた.そこで,平成19年度は歯石および現在市販されている各種義歯洗浄剤の組成成分の分析を行い,平成20年度はこれらのデータを基に更に進行させながら,市販の義歯洗浄剤のうち,特に本研究目的に関連のある歯石除去用の義歯洗浄剤3種類を使用して検討を行った.まず,使用時における各義歯洗浄剤の保存状態を想定した条件下でのpHの経時的変化を調べ,次いで義歯から採取した歯石を使用して,それぞれの義歯洗浄剤による歯石の溶解度を分析した.また,義歯の主な構成材料である,義歯床用レジン,硬質レジン人工歯,金銀パラジウム合金,コバルトクロム合金を使用して,義歯洗浄剤による各材料の表面性状の経時的変化を観察した.その結果,各条件下での各pHの経時的変化を見ると,2種類の義歯洗浄剤は共にほとんど変化は認められなかったが,1種類は5日後から白色沈殿物が析出し,pHが約1〜2低下した.各義歯洗浄剤に一定時間浸漬した各試料の表面は,ほとんど変化が認められなかったが,1種類においてコバルトクロム合金がやや粗造に感じられた.また一方では,自然水を電気分解したイオン水は殺菌・洗浄に効果があり,分子間引力現象により汚れなどの物質の表面をプラスイオン化して剥離する作用があるがアルカリ性である.しかし,電気エネルギーにより水酸イオンが増加したものであるため,皮膚への刺激性などは認められない.その結果これらの特性を生かしながら成分配合の検討を行ったが,さらなる構成要素のデータ分析と検討が必要である.
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