2007 Fiscal Year Annual Research Report
リグノフェノールを用いたリグニン本来の生理調節機能の探索
Project/Area Number |
19650211
|
Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森永 八江 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 助手 (40404818)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 伸 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (40310099)
藤田 修三 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20173429)
|
Keywords | リグノフェノール / リグニン / 食物繊維 / 高血圧 / 脳卒中 / ナトリウム / カリウム |
Research Abstract |
高血圧の予防・改善策の一つとして食物繊維の十分な摂取が有効であると考えられている。食物繊維であるリグニンは、木材や植物の茎に多く含まれる成分である。本研究で用いたリグノフェノール(LP)はリグニンから「相分離変換システム」により得られた新規素材であり、フェノール性水酸基が付加した広義のポリフェノールである。これまで、LPの研究開発は主に塗料、接着剤、包装・貼合用フィルムなど工業的な方面で進んでいるが、生体内における生理調節機能に関する知見はほとんどない。そこで、LPの食物繊維機能を評価するために、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いてLPの血圧上昇抑制効果を検討した。 1%食塩水を負荷したSHRSPに異なる濃度のLP添加食を長期間投与した。血圧を測定し、24時間採尿及び採糞して血漿、尿及び糞中のナトリウム(Na)及びカリウム(K)濃度をICP-MSで測定した。 その結果、投与最終週のLP高用量群の収縮期血圧は、対照群に比べて有意に低かった。血漿中のNa及びK濃度は対照群とLP各群には著しい差はみられなかった。一方、対照群とLP高用量群の尿中Na濃度を比較するとLP群で高値であった。糞1g当たりのNa濃度はいずれの群でも有意な差はみられなかったが、1日当たりの糞中Na濃度は対照群と比べて、LP高用量群で高い傾向がみられた。一方、糞1g当たりのK濃度はLP高用量群で有意に低く、1日当たりの糞中K濃度も低くなる傾向がみられた。 以上から、LPは血圧上昇抑制作用を有し、Na排泄を促し、K損失を抑制することが考えられた。この機序については、さらなる研究が必要ではあるが、LPは少なくとも、NaやK代謝に関与し、血圧上昇を抑制する可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)