2008 Fiscal Year Annual Research Report
リグノフェノールを用いたリグニン本来の生理調節機能の探索
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19650211
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森永 八江 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 助手 (40404818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 伸 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (40310099)
藤田 修三 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20173429)
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Keywords | リグノフェノール / リグニン / 食物繊維 / 高血圧 / 脳卒中 / 糖尿病 |
Research Abstract |
背景:高血圧や糖尿病等の生活習慣病では、酸化ストレスが増大する。例えば、糖尿病では高血糖状態により終末糖化産物(AGE)により活性酸素、特に、スーパーオキシド(O2-)が過剰に産生される。また、高血圧状態ではNAD(P)Hオキシダーゼが活性化し、02-が過剰に産生され、血管内皮の機能障害が生じる。リグノフェノール(Lignophenol、以下LP)は、植物体を構成するリグニンから「相分離変換システム」により得られる新規素材であり、天然のリグニンと化学構造が同じでフェノール性水酸基が付加したポリフェノールである。しかし、LPの糖尿病や高血圧等の生活習慣病における生理調節機能や予防・改善効果に関する知見はほとんどなかった。そこで、今年度は、低分子化したLPを用いて、実験(1):糖尿病モデル動物の腎臓に及ぼすLPの影響、実験(2):高血圧自然発症ラット(SHR)の血圧上昇に及ぼす影響を調べた。 方法:実験(1):ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットに、異なる濃度のLP含有飼料を5週間投与した。対照群(非糖尿病ラット)には標準動物飼料のみを投与した。屠殺後、血漿中血糖値(Glc)量を測定した。腎臓を採取し、皮質と髄質部位にわけ、そのホモジネイトを用いて化学発光法によりO2-量を測定した。実験(2):SHR及び正常血圧のWistar Kyoto Rat(WKY)に0%あるいは1.0%のLP含有飼料を6週問投与し、尾部カフ法により血圧測定した。 結果:実験(1):LPO%群のGlc値は、対照群に比べて有意に上昇したが、LP投与群間では差は認められなかった。LPO%群の腎臓の皮質や髄質部位のO2-量は、対照群に比べて増加した。これに対してLP投与群のO2-量は、0%群に比べて有意に減少した。この結果は、LPは糖尿病の腎臓の酸化ストレスを抑制することを示していた。実験(2):SHR+1.0%群の収縮期血圧はSHR+0%群に比べて低下した。この結果から、LPは血圧上昇を抑制する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)