Research Abstract |
本研究は,博物館における新しい展示手法として,展示空間と展示物に3Dシミュレーションゲームを融合させ,効果的な学習環境を提案するものである。この目的のためには,博物館内を無線LANでネットワーク化し,学習者は携帯端末を携帯して移動しながら展示資料を観察することになる。当該年度では,前年度の基盤システムを大幅に改良し,データベースサーバーに無線LANを経由して携帯型ゲーム機からアクセスできるシステムを開発した。このシステムでは,ユーザー登録,クイズの出題,分岐,複合現実感のマーカー表示,ステイタスの更新などが可能で,ユーザーの操作履歴を記録できるようにした。2009年2月には,このシステムに進化をテーマにしたクイズ集を登録し,同時に4名までが参加できる実験展示イベントを3日間行った。参加者は,展示標本を観察しながらクイズに答え,携帯端末の指示に合わせて移動することになる。また複合現実感技術もこのシステムに組み込み,2ヵ所にHHD(ハンドヘルドディスプレイ)を設置し,魚竜の頭骨に全体像を重ね合わせる展示と,ティロサウルスとバシロサウルスの全身骨格にCGアニメを合成し,泳ぎ方の違いを確認してクイズに答えられるようにした。また複合現実感では,携帯型ゲーム機上に表示されたマーカーを小型ディスプレイの下に置くと3DCGが携帯型ゲーム機上に表示され,それがクイズとなるようにした。さらに,展示場所のガイド機能を複合現実感で行うことも試みた。実験の結果,全体的なシステムの構成には問題無かったが,クイズの修正点や展示場所に迷うケースがあり,次年度への課題となった。
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