2007 Fiscal Year Annual Research Report
鍛冶職人の伝統技術を数値的に把握する方法の創設へむけた基礎研究
Project/Area Number |
19650256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
齋藤 努 National Museum of Japanese History, 研究部, 准教授 (50205663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (60270401)
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Keywords | 日本史 / 金属生産工学 / 分析科学 / 文化財科学 / 再現実験 / 大鍛冶 / 刀剣 / サーモグラフィー |
Research Abstract |
大鍛冶工程の再現にむけ、加熱条件の決定および文献記録にある予備加熱の理由を明らかにする目的で、予備実験を行った。江戸時代の建築物の門に使用されていた肘金を原料とし、赤外線高温サーモグラフィーと送風量測定装置つきのブロアを使用して、炉内や原料各部の温度をリアルタイムでモニターしながら実験を行った。この結果、予備加熱の意味と、工程中のどこで脱炭反応が起きているかが明らかとなった。この結果に基づき、装置にはさらに改良を加え、次年度には本格的な再現実験を行う予定である。今年度はまた、日本刀を製作する一連の工程のうち、刃文と反りを入れる最終工程である「焼き入れ」に焦点をあてて赤外線高温サーモグラフィーを用いて温度測定を行った。宮城県在住の刀匠・法華三郎信房氏、栄喜氏父子に依頼し、刃文として「沸(にえ、マルテンサイト結晶の大きなもの)」と「匂(におい、マルテンサイト結晶の小さなもの)」がそれぞれ形成される条件で焼き入れを行ってもらい、焼刃土の上と、それを取り除いた下の鉄部の両方について加熱時の温度分布、場所による冷却速度の違いを調べ、また生成物の金属組織を電子線マイクロアナライザーで観察することによって、刃文の形成過程を左右する要因について検討を加えた。なお水中で急冷されている過程での焼刃土上の温度変化は、同刀匠が通常使用しているのと同寸の透明アクリル製水槽を作成し、測定器に波長フィルターをかけ、アクリル板越しに刀身の温度を測定できるように工夫して実施した。この結果は、2008年6月に行われる日本文化財科学会第25回大会(鹿児島国際大学)で発表する予定である。
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Research Products
(4 results)