2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノシリカ粒子を用いた放射性同位元素安全使用のための基礎研究
Project/Area Number |
19651022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 弘一 The University of Tokushima, アイソトープ総合センター, 准教授 (90229906)
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Keywords | 放射性同位元素 / シリカ粒子 / ATP / 放出 / 分解 / 界面活性剤 / 被包 / 放射能 |
Research Abstract |
放射性同位元素(RI)のシリカナノ粒子内への固定法について検討し、その取り込み濃度の評価を行うとともに取り込み法を最適化するという平成19年度の「研究の目的」について、検討した結果、固定法については、「実施計画」にあったRIイオンと化合物の組合わせ法では、イオンを用いているため、取り込み濃度については、放射能でしか評価できないことから、高価なRIを際限なく使用するおそれがあったので、放射性標識化合物(3-H化合物)を使用して固定する方法を選択した。260nmに吸収極大を持つ非放射性のATPに着目し、ATPのシリカ粒子への最大取り込み条件を限外ろ過した試料の吸光度から決定した。次に、3-H-ATPを購入し、ATPの最大取り込み条件を用いて3-H-ATPの固定を行った。その結果、限外ろ過洗浄後に、放射能を有する試料水溶液を得た。ところが、この試料水溶液を2週間放置した後、再び限外ろ過を行うと、試料水溶液のろ過液の放射能とろ過前の試料の放射能が同じになり、固定していた3-H-ATPが全て水溶液中に放出されたことがわかった。そこで、一度3H-ATPを固定したシリカの上にさらにシリカを2回成長させる(放射能が1/3になる時間から見積もって約40.7nmと推定)ことで、7週間たっても試料の放射能(173kBq)が最初の放射能の1/3に留まらせることに成功した。以上より、平成19年度の計画である、3-H化合物を固定したシリカナノ粒子を調製する事に成功した。これは、RI(3-H)をシリカナノ粒子中に固定した初めての結果であり、シリカナノ粒子の着色(可視化)や界面活性剤による沈殿による回収などにより具体的な放射性同位元素安全使用への道を開いた意義は大きい。今後、着色による汚染の明確化、RIの沈殿化によるRI廃液の減少の具体的かつ簡便な実施方法を計画に沿って研究・開発することが重要である。
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Research Products
(1 results)