2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノシリカ粒子を用いた放射性同位元素安全使用のための基礎的な研究
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19651022
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 弘一 The University of Tokushima, アイソトープ総合センター, 准教授 (90229906)
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Keywords | 放射性同位元素 / シリカナノ粒子 / トリチウム / 炭素14 / ADP / ATP / 放射能 / シンチレーチ |
Research Abstract |
平成21年度の研究計画に従って、(1)シンチレータ(POPとPOPOP)のナノシリカ粒子中への固定を行い、蛍光スペクトルと吸収スペクトルから内包されていることを確認した。(2)シンチレータを固定したナノシリカ粒子を使用して、トリチウムの放射能の測定を行った。当初、水溶液中に分散させてこれにトリチウムを加えて液体シンチレーションカウンター(LSC)で放射能を測定したが、ナノシリカ粒子の濃度が低く、トリチウムとの距離が離れていたため、測定できなかった。そこで、ガラスバイアルの底にシンチレータを固定したナノシリカ粒子水分散液を塗布して乾燥させ、そこにトリチウムを滴下することで計数値を得ることができた。溶媒なしに測定できたことは放射性廃液の減少という点で大変意義がある。(3)ナノシリカ粒子内にシンチレータとトリチウムを同時固定と評価及び(4)その放射能測定と評価では、シンチレータとトリチウム共存下でナノシリカ粒子を調製した。限外ろ過洗浄後に、LSCにて放射能を水溶液中で測定したがバックグラウンドよりわずかに高い程度であった。液体シンチレータを用いて測定するとトリチウムの放射能が得られたことから、本試料はトリチウムのβ線エネルギーの内部のシンチレータへの伝達が十分ではなかったと考えられた、この自己発光型ナノシリカ粒子の調製は、液体シンチレータを使用せずに検出が可能なため、細胞への取り込みなどの際に、効果的である。さらに、条件を調整して使用できるようにしたい。(5)トリチウムの使用、測定、回収を安全に行うことのできるシステムの提案について、H19~H21にかけての研究により、ナノシリカ粒子中に、トリチウム及び炭素14についで固定することができた。こめ調製法を応用すれば他の放射性同位元素のナノシリカ粒子中への固定は可能である。これにより、飛散め抑えられたより安全な使用が可能になった。また、従来、有機溶媒を使用していたトリチウムの放射能測定が、溶媒を使用せずに行えることが可能となった。また、ナノシリカ粒子に固定することにより、水溶液中では、静電的に凝集させ沈殿させることが可能なため、溶媒とトリチウムを完全に分離することが可能となった。これらの結果から、安全な使用-回収の手法を提案することができた。
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[Remarks] ・平成21年度に、基盤研究 (B) (H21~H23) 「環境および消費者製品に由来するナノ粒子の曝露評価」(京都大学工学研究科環境リスク工学分野 米田稔教授)のナノ粒子として、本研究で調製した14-C-ADP-SiO2粒子が採用され、成果が挙がりました。連携研究者として参加しています。
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[Remarks] ・論文1編(査読有) が、J.Non-Crystallite Solidsに投稿して査読中です。