2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換えマウスを用いた喫煙および喫煙環境の総合的・継続的リスク評価
Project/Area Number |
19651024
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
北村 正敬 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90333062)
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Keywords | 喫煙 / 芳香族炭化水素受容体 / トランスジェニックマウス / 環境科学 / バイオセンサー / ダイオキシン / 多環芳香族炭化水素 / 病理学 |
Research Abstract |
タバコ煙の多彩な毒性の背景にあるメカニズムは未だ十分に解明されておらず、禁煙以外に有用な予防法/治療法が存在しない。また受動喫煙に関し、実際どの程度の喫煙環境にどのくらいの期間曝された場合に人体に有害な影響が及ぶのか、未だ明らかにされていない。本研究は、タバコ煙によるダイオキシン受容体(AhR)の高度活性化という我々が発見した事実をもとに、遺伝子工学的に作製したトランスジェニックセンサーマウス(DRESSAマウス)およびAhR-KOマウスを用い、喫煙関連疾患におけるAhRの重要性を明らかにするとともに、センサーマウスによる喫煙環境の直接的、総合的かつ継続的なモニタリングとリスク評価を行うことを目的とした。本研究ではまず、DRESSAマウスによる実験的喫煙環境のリスク評価を施行し、能動喫煙のみならず、低濃度のタバコ煙への受動的曝露によっても、生体内におけるAhRの有意な活性化が生じる事を明らかにした。さらに喫煙によるAhRの活性化の病理学的意義を明らかにするため、AhR欠損マウスを用いた検討を施行し、1)AhRの活性化がタバコ煙により生じる胎児の口蓋裂の誘発に不可欠であること、及び、2)タバコ煙はAhRの活性化を介して脂肪細胞の分化を抑制し、アディポネクチン等の善玉アディポサイトカインの産生を阻害する事実を明らかにした。能動喫煙や受動喫煙は生体に於いてAhRの活性化を惹起し、喫煙関連病態の発症に寄与する可能性が示唆される。
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