2007 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の発達神経毒性影響に関するメダカ胚を用いた新規評価法の開発
Project/Area Number |
19651025
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
石川 裕二 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, 上席研究員 (20110299)
|
Keywords | 環境 / 脳 / 神経 / 発生 / 分化 / 行動学 |
Research Abstract |
非哺乳類を用いた新規の発達神経毒性スクリーニング試験法開発のために、化学物質が発達中のメダカ胚神経系にどのような影響を及ぼすかについて組織形態および行動レベルについて調べた。 近交系メダカHO4C受精卵、発生ステージ26(受精後約2日)を、塩化メチル水銀9-10×10^<-7>M(高濃度)、2-5x10^<-7>M(中濃度)、および1×10^<-8>SM(低濃度)の水溶液に、それぞれ72時間曝露し、洗浄後、孵化まで飼育して、生体観察し、一部の材料からは組織切片を作成した。艀化までの時期における発達神経毒性評価のエンドポイントとして、孵化までの胚の個体死および脳の形態組織変化をとった。その結果、高濃度のメチル水銀曝露によって、メダカ胚の約半数は孵化までには死ぬことが分った。高濃度のメチル水銀曝露胚では、脳の形態および組織像において、明確な異常が検出され、メダカ胚を用いて発達神経毒性評価が可能であることが明らかになった。中濃度および低濃度のメチル水銀曝露によっては、メダカの胚はほとんど致死的影響を受けることなく孵化まで発生を続けた。また、これらの濃度では脳の形態および脳の組織像に明確な変化は認められなかった。中濃度のメチル水銀に曝露された胚から孵化した稚魚の一部を成魚まで育てた。育てた成魚について、行動解析による恐怖学習一記憶力変化を調べた。行動解析の結果、メチル水銀暴露メダカは恐怖を学習一記憶できない傾向があることが判明した。しかし厳密な統計上の有意差は検出できなかった。また、塩化カドミウムの影響についてもほぼ同様の実験を行い、予備的結果が得られつつある。 以上のように、方法を工夫すれば、メダカ胚は新規発達神経毒性スクリーニング試験法のための優れた材料になりうることが本研究によって判明した。
|
Research Products
(4 results)