2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化還元反応場を有する層状複水酸化物による排水中重金属オキソアニオンの新処理技術
Project/Area Number |
19651027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀田 知人 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 助教 (60333895)
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Keywords | 層状複水酸化物 / アンチモン酸イオン / アニオン交換 / 表面吸着 |
Research Abstract |
本研究の目的は、排水中に数種の異なる酸化状態が存在するため、その処理が困難であるアンチモン(Sb)等の重金属オキソアニオンについて、その原子価をコントロールし、且つ濃縮できる新処理技術を開発するための基礎研究を行うことである。この技術は、萌芽的発想に基づいて、酸化還元反応場を有する層状複水酸化物(LDH)を開発することで実現することを志向している。昨年度は、共沈法によりFe^<2+>-A1^<3+>系LDHが生成することがわかったが、同時に、Fe^<2+>のFe^<3+>への酸化に伴う非晶質の水酸化第二鉄の生成、さらには非晶質のA1^<3+>の水酸化物が生成することがわかった。本年度は、この沈殿物を用いて、水溶液中のアンチモン酸イオンの除去を検討した。 Sb溶液に沈殿物を懸濁させた場合、時間の経過と共にSb濃度は低下した。初期pH3.6の場合、Al/Sbモル比が高いほどSb濃度は低く、沈殿物量が大きいほど、アンチモン酸イオンの除去量が大きいことがわかった。Al/Sbモル比が5.0の場合、初期pH 3.6及び7.0でほぼ類似したSb濃度の低下挙動を示し、弱酸性領域では沈殿物のアンチモン酸イオン除去能力はあまり変化しないことがわかった。また、初期pH7.0において、沈殿物あるいは水酸化第二鉄を同量Sb溶液に添加した結果、沈殿物中には水酸化第二鉄が少ないにもかかわらず、沈殿物の方が水酸化第二鉄よりも、Sb濃度の低下は大きかった。このことは、沈殿物中のFe^<2+>-A1^<3+>系LDHの寄与が大きいことを示している。水酸化第二鉄によるSb濃度の低下は、アンチモン酸イオンの吸着によるものと考えられる。一方、沈殿物によるSb濃度の低下は、沈殿物に含まれる非晶質の水酸化第二鉄へのアンチモン酸イオンの吸着に加え、Fe^<2+>-A1^<3+>系LDHのアニオン交換機能によるアンチモン酸イオンの捕捉によるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)