Research Abstract |
植物を用いたフォトレメディエーションを考える場合,最も重要なことは,植物が枯死分解後,対象となる物質が水中に溶解しないことである。本研究では,車軸藻は枯死後,極めて安定な泥を生産することから,当初,これが再浮上しないシステムをつくることが可能であると考えられた。平成19年度には,この仕組みを更に詳細に調べるために,車軸藻の作成する泥の安定性の測定,および,カドミウムを用いて,カドミウムが車軸藻に取り込まれる仕組みについて,Chara fibrosaを用いた室内実験によって調べた。 まず,車軸藻の作成する泥の安定性については,泥自体の安定性もさることながら,車軸藻自体が通気組織の割合が少なく,湖底付近に安定した群落をつくることから,単に泥自体の物理的安定性だけでなく,新しく生えてくる車軸藻も含めた系として,車軸藻の生える泥表面は,他の沈水植物と比較して極めて安定であることが確かめられた。 次に,車軸藻に取り込まれたカドミウムの動態では,比較として行なった付着藻オシラトリアによるカドミウムの取り込みと比較すると,オシラトリアの場合には,枯死後,取り込んだカドミウムのうち90%が再回帰されるのに対し,車軸藻によるものの方はほとんどが安定に取り込まれ,車軸藻分解後も溶出しないことが確認された。この理由として,車軸藻の場合には,カドミウムが50%程度が炭酸カドミウムの形態で取り込まれていることから,溶出しにくくなっているためであることが示された。
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