2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機ピエゾクロミック発光材料創製に向けた双安定相のナノ構造設計
Project/Area Number |
19651040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 孝二 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (40134639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
務台 俊樹 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80313112)
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Keywords | ヒエゾクロミック発光 / ピレン / ペリレン / 水素結合 / 超分子 / 蛍光 / 圧力負荷 |
Research Abstract |
ピエゾクロミズムを発現するには、圧力に依存する二つの安定状態(双安定相)をとることが必要である。我々は、πスタッキングが可能な平面構造の蛍光性芳香環と水素結合鎖を形成するアミド部位を同時に持たせたピレン誘導体TPPyがピエゾクロミック発光を発現することを見出し、その要因は最適距離の異なる分子間相互作用(スタッキング:0.34-0.36nmと水素結合:0.47-0.48nm)を有することにあると考え、'ミスマッチ'コンセプトという材料設計指針を提案している。 本年度は、蛍光ユニットとしてピレンをペリレンに入れ替え、水素結合部位(アミド基)を二つ導入したペリレンビスアミド(PBA)について検討をおこなった。PBAは水素結合に基づく超分子構造を形成し強い黄色発光(540nm)を示す。この固体を押しつぶすと発光は赤色(610nm)に変化し、TPPyと同様にピエゾクロミック発光を発現した。量子収率と発光寿命から、黄色および赤色発光は、それぞれモノマーおよびダイマーによることを明らかにした。この成果は、異なる分子間相互作用を利用する'ミスマッチ'コンセプトの汎用性を示唆するものであり、またピレン系で見出にた青⇄緑色発光スイッチングと考え合わせ、より広範囲な波長においてピエゾクロミック発光材料の開発の可能性を示したといえる。 さらに、圧力負荷にともなう発光変化のし易さがアミド基側鎖の構造に大きく依存することを見出し、ピエゾクロミック発光材料の圧力感受性制御にむけた基礎的な知見が得られた。
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Research Products
(22 results)