2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19651046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 賢 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 准教授 (00322850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 淳一 北海道大学, 遺伝病制御研究所, 准教授 (50192703)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ材料 / 移植・再生医療 / 医療・福祉 / 癌細胞 / 増殖抑制 / 細胞接着 / 多孔質 |
Research Abstract |
ハニカムフィルム上で癌細胞の培養を行い、表面の微細形状が癌細胞の増殖・運動性におよぼす影響について調べた。58株のヒト癌細胞をハニカム膜および平膜上で培養し、細胞増殖性を比較した。例えば、ヒト肺癌細胞(A549)の場合、培養24時間後には75%、培養48時間後には85%の増殖抑制が観察された(Fig.6)。由来臓器や組織型を問わず、すべての癌細胞において、ハニカム膜上の細胞は平膜上に比べ増殖が抑制された。ハニカム膜上で培養した癌細胞の増殖は,平膜上に比べ、27株で50%以上、51株で20%以上抑制された。 細胞増殖抑制効果がアポトーシスによる細胞死に起因するのかどうかを調べるために、カスパーゼ3/7の酵素活性およびTUNEL染色を行った。ハニカム膜は抗癌剤のカンプトテシン処理した場合と同様の増殖抑制効果が観測されたが、ハニカム膜および平膜上で培養した場合のアポトーシス誘導の程度は、カンプトテシン処理した場合に比べ著しく低かった。また、アポトーシス誘導の程度は、ハニカム膜と平膜との間で差がみられなかった、以上の結果から、ハニカム膜による癌細胞の増殖抑制効果は、アポトーシスによるものではないと考えられる。 増殖抑制効果の高い癌細胞は、ハニカム膜上では平膜上に比べて平たく接着し、癌細胞の周辺はハニカムパターンに沿って伸展していた。培養後、トリプシン処理により膜から剥がれる癌細胞数を調べた結果、平膜上の癌細胞はすべて剥がれた。一方、ハニカム膜上では約半数しか剥がすことができなかったので、これらの癌細胞は強固に接着していることがわかった。以上の結果は、ハニカム膜が癌細胞の増殖や運動性に対し抑制的に働くことを示している。
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