Research Abstract |
原子を直視できる空間分解能で,対象となるナノ構造を観察し,それに近接場光学顕微鏡プローブを接近させ,その光学応答を検出できる複合型高分解能透過電子顕微鏡法を発展させることが本研究の目的であり,特に,光学応答を検出する領域を,現在の数百ナノメートルから,さらに狭くしていくこと,つまり個別分光の対象領域空間分解能を改善することを主眼とした. 初年度である本年度では,検出部の光プローブであるグラスファイバーの加工を実験の中心にした.具体的には,以下の実験を行った. (1)光ファイバーを加工するときの位置と研磨角度を調整するためのゴニオメータ付き固定ジグを設計し,製作した. (2)この研磨ジグを完成させた後,これを用いて,種々の光ファイバーの先端を,直径がナノメートルスケールになるように研磨した.研磨時の研磨角度,研磨速度,研磨温度,研磨の雰囲気等を調整した.また,加工後にX線エネルギー分散型組成分析装置を用いて,光ファイバー加工時の組成の変化,不純物の付着,および外形との相関などを詳細に調べた. (4)この光ファイバーにレーザーを入射し,その減衰率や検出効率等を調べた. (5)この光ファイバーをこれまでに開発してきた,ナノチップ操作機能を組み込んだ高分解能透過型電子顕微鏡に組み入れ,その先端を観察した.この時点で,最終的に研磨された先端角度,先端径などの形状を観察した. 以上の結果,光プローブとして本研究の目的に十分適合した形状ができていることがわかった.
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