2008 Fiscal Year Annual Research Report
セラソームを用いる自己集積型マイクロ化学チップの作製
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19651053
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 純一 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
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Keywords | セラソーム / 自己集積 / マイクロ化学チップ / 有機-無機複合体 / 脂質 / ベシクル / ドメイン形成 / 交互吸着法 |
Research Abstract |
本研究では、申請者らが開発した新規の有機-無機複合ベシクル「セラソーム」の特徴を活かして、これまでに無い自己集積型のマイクロ化学チップの作製を目指した。本年度の成果を以下にまとめる。 1.ドメイン構造をもつセラソームの集積 前年度の成果に基づき、セラソーム形成脂質に合成ペプチド脂質あるいはリン脂質を混合して、ドメイン構造をもつセラソームを種々作製した。形成された脂質ドメインの可視化には、市販の蛍光プローブを用いたが、微視的粘性の変化を利用して脂質ドメインを可視化できる蛍光プローブも新たに開発した。基板上ヘセラソームを集積するために、オリゴヌクレオチド鎖をもつコレステロール誘導体をベシクルに組み込み、これと相補的なオリゴヌクレオチドとの分子認識を利用して、ドメイン選択的なベシクル集積系を開発した。 2.セラソームの膜融合挙動の評価 脂質ベシクルの膜融合によって脂質チューブを作製するためには、ドメイン選択的な膜融合系を開発する必要がある。そこで、種々の高分子電解質を用いて脂質ベシクルの融合挙動を評価した。 その結果、ベシクル表面と反対に荷電した高分子電解質を用いることで膜融合を起こせることがわかり、高分子の構造が融合挙動に大きく影響することも明らかになった。また、セラソームは、他の脂質ベシクルに比べて、膜融合耐性が極めて高いこともわかった。したがって、ドメイン構造をもつセラソームでは、セラソーム形成脂質以外の脂質ドメインを利用した膜融合が可能であり、脂質チューブ構造を形成できる可能性が示された。
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