2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子-RNA複合体ナノワイヤの電子輸送機構の理論的解明
Project/Area Number |
19651065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西口 規彦 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (40175518)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / ナノワイヤー / 単電子トンネル / 温度依存性 / NEMS |
Research Abstract |
1.平成21年度では、金のナノ粒子の熱フォノン、特にブリージングモードとオブロングモードフォノンが単電子トンネリングに及ぼす効果を、ナノ粒子1個からなる単電子トランジスタにおいて、理論的に明らかにした。ナノ粒子からなるナノワイヤの電子輸送現象において、ワイヤーを構成するナノ粒子の熱フォノンによる動的な変化はナノワイヤの電気伝導特性に著しい効果を及ぼすことが懸念された。そこで、ナノ粒子のフォノンの代表的なモードとして、ブリージングモードとオブロングモードフォノンの電気伝導度への寄与を理論的に明らかにし、これまで知られていた分子トランジスタとの比較を行った。その結果、閾電圧近傍でTHzフォノンの放出と吸収による新たなチャンネルが電気伝導に寄与するが、その全電流への寄与が小さく、無視し得ることが明らかとなった。 一方、フォノン吸収を伴った単電子トンネル伝導によるナノ粒子内の冷却効果は認められなかったが、フォノン放出によるナノ粒子内の温度の増加は著しいものがあった。 2.ナノワイヤの電子輸送現象を、モンテカルロ法による数値シミュレーションに基づいて行った。モンテカルロシミュレーションを実施するに当たり、熱浴を一昨年確立したNose-Hoover力学を用いて構成し、シミュレーションを実施した。その結果、熱浴にNose-Hooverの方法を用いることで生じる記億効果が大きく、例え定常状態でも電流値が安定しない問題が生じた。様々なパラメータ値でシミュレーションを行い、この問題を回避することを試みたが成功するに至っていない。本研究の最終年度に当たり、非平衡状態にNose-Hoover力学を適用することの問題点を見いだし、本モデルの正当性を再考する必要性に至った。
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