2007 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な生存基盤構築のための環境・防災統合型空間情報プラットフォーム
Project/Area Number |
19651073
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐土原 聡 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 教授 (90178799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 聡 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 准教授 (80323939)
稲垣 景子 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 特別研究教員 (20303076)
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Keywords | 地球環境問題 / 災害 / トレードオフ / 人口減少 / 統合的対策 / リスク / 空間情報基盤 / 神奈川流域圏 |
Research Abstract |
地球環境と防災を総合的にとらえることの重要性を、1)両者が相互に複雑に関係した現象が多々見られること、2)生活者の立場からは両者のリスクを併せて考えることが自然であること、3)地球環境問題への対応に全ての人があらゆる局面で取り組むことが求められており、災害対策も例外ではないこと、4)人口減少時代を迎え、社会資本投資の原資が減少することから、災害・環境の効果的な総合対策が求められることの4点に整理した。 次に災害現象と環境問題を比較して、両者の区別が実は明確ではないことを明らかにした。両者ともに人間にとって不都合な事態、人間の存続を脅かすリスクであるが、災害は急激な状態の変化が間欠的、局地的に発生するもの、環境問題は連続的なゆっくりした変化が比較的広域で発生するものを意味する。また、災害現象は人間活動の影響如何によらず発生するが、環境問題は人間活動に起因し、それが物理的環境を変化させることにより生ずる。それらは相互に関係し合うとともに、明確な区別をつけにくい場合もある。 さらに、災害、環境問題の具体的な現象と対策について、両者のトレードオフなどの相互関係を定性的に整理する手法として、われわれを取り巻く物理的環境を「地圏」「水圏」「気圏」「生物圏」「人間圏」に、それぞれをさらに「素因」「誘因」の2つに分けて記述するチャートを提案し、また定量評価の道具となる神奈川流域圏の空間情報基盤のプロトタイプを構築した。 なお対策のための整理として、災害現象、環境問題を、地域の物理的な環境の『鏡』に人間活動の不具合が投影されたものととらえ、投影された「環境問題・災害」の源である人間活動に立ち返って、講じるべき対策を考えることで環境と防災の総合的、統合的取り組みができるとした。 以上は地球環境と防災を体系的に整理し、統合的対策に向けた方法を提示した初めての成果であり、学術的価値が大きいと考えられる。
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