2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会におけるスピード化と人間のリズムのズレに関する時間学的総合研究
Project/Area Number |
19651074
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
辻 正二 Yamaguchi University, 人文学部, 教授 (10123936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 愼一 山口大学, 時間学研究所, 教授 (10274151)
中村 彰治 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80112051)
原田 規章 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70116747)
松野 浩嗣 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10181744)
高橋 征仁 山口大学, 人文学部, 准教授 (60260676)
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Keywords | 社会的時間 / 生命的時間 / リズム / 速度 / 労働環境 / 不規則性 / 生活時間 / 鬱 |
Research Abstract |
現代の社会では生活のあらゆる領域がスピードを加速化し、それが人間の身体のリズムの変調や社会システムの変調をもたらしていることを解明することに本研究の狙いがある。 今年度の研究では、若い青年層の時間意識(社会の時間の速さ意識、時間的展望など)と健康意識の関連を考察するために大学生の調査を実施した。調査は、北海道から沖縄県までの全国26大学の大学生を対象に「青年の時間意識と健康意識に関する調査」を実施した。 今後、高齢者と比べながら時間の速さ意識の構造を少しづつ解き明かさなければならないが、今回の予備的研究で若い大学生の時間意識が時間の大切さ意識に基軸をおくという知見は、一つの糸口を見いだし得たと考える。 (1)大学生の時間の速さ意識でみると、漠然とした日常生活の中では9割の学生が「時間がやたらと速く進む(時間の速さ感)」と感じているが、「10年前と比べて」社会のスピードが速くなったかどうか(社会的速度感覚)では65%しかみられないが、今後の時間の速さ予測(今後の時間の速さ感)では76%が「速く感じられるようになる」と予想していた。(2)しかし、こうした速度感覚は、大学生の場合、住まい、地域生活、友人、団体活動などの生活基盤とは結びついてはいなかった。(3)むしろ、今回の調査では、時間の大切さ意識が中軸の変数であって、時間の大切さを「いつも感じている」人ほど、時間のスピードの速さを感じており、規則的な生活を行い、時間の管理などもしていることが分かった。逆に、時間の大切さを「ほとんど感じていない」人ほど、飲酒習慣を持ち、高血圧気味の人が多く(10%)、入院経験があり、生活満足度が低いことがわかった。
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Research Products
(18 results)