2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19651098
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 嘉浩 The Institute of Physical and Chemical Research, 伊藤ナノ医工学研究室, 主任研究員 (40192497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 洋 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 研究員 (80415067)
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Keywords | ポリエチレングリコール / 有機溶媒 / DNA / テロメア |
Research Abstract |
これまでに、我々は有機溶媒中で機能する核酸触媒を試験管内進化法により創製する研究の手始めに有機溶媒可溶化核酸の調製に成功した。まず、我々は、タンパク質を修飾することにより、これを有機溶媒へ可溶化することが知られているポリエチレングリコール(PEG)を用いることで、核酸分子も同様に可溶化できるのではないかと考えた。最初に、オリゴ核酸15塩基にPEG(分子量1万)を修飾し、有機溶媒に可溶であるかを検討したところ、クロロホルム、ベンゼン、塩化メチレン、アセトニトリルに少なくとも100μMまで問題なく溶解することが明らかになった。 現在までに、化学修飾によりオリゴ核酸を有機溶媒可溶化したとの報告例はなく、本結果は全く新しい知見である。さらに、我々は、核酸鎖の高次構造が有機溶媒中と水中でどのように異なるかに興味を持ち、水中でGカルテット構造を取るテロメア配列の核酸をPEGで修飾し、そのジクロロエタン中での構造を円偏光二色性測定器(CD)により解析した。その結果、水中と全く同様に、有機溶媒中でもGカルテット構造を取ることが明らかになった。本研究成果は、有機溶媒中でのオリゴ核酸の高次構造を証明した初の例となる。また、この結果はリボザイムなどの機能性核酸の高次構造も有機溶媒中で維持されることを期待させる。上記の研究知見から、核酸のPEG修飾化は、我々の目的とする「有機溶媒中で働くリボザイム」開発の基盤技術となることが明らかになった。PEG修飾化核酸の特徴は、水にも、有機溶媒にも可溶化できる点である。そのため、例えば、有機溶媒中で有機化学反応を行い、触媒活性のある配列のみを選択し(自然淘汰)、水中でその配列をPCR増幅する(増殖)といったダーウィン進化の過程を模倣した試験管内進化法(SELEX法)へも展開できる。
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Research Products
(3 results)