2009 Fiscal Year Annual Research Report
カント晩年の政治哲学の意義と世紀転換期ドイツの政治思想
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19652002
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
平子 友長 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (50126364)
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Keywords | カント / 世界市民社会 / 永遠平和 / 国際法 / 先占 / 先住権 / 無主の地 / 植民地主義 |
Research Abstract |
2009年度は、当該科研費(挑戦的萌芽研究)の研究目的に関わる以下の三つの研究実績があった。 1.【論文】藤谷秀・尾関周二・大屋定晴(編)『共生と共同、連帯の未来』に「ハバーマス『カント永遠平和の理念』批判」を発表した。ロック以降、西洋国際法に「無主の地」の理論が導入され、それによって非西洋諸大陸の大部分が「無主の地」と見なされ、西洋諸国家による植民の対象とされたことに対して、先住民の先住権を擁護する立場からの全面的批判がカント最晩年の政治哲学の主題であることを黙殺しているハバーマスのカント解釈を厳しく批判した。 2.【研究発表】津田塾大学国際関係研究所主催の研究懇談会に招待され、「カント最晩年の政治哲学の再評価-世界市民社会概念の意味-」について報告した(2009年5月21日)。 3.【研究成果の公開】2009年度は最終年度であるので、『カント晩年の政治哲学の意義と世紀転換期ドイツの政治思想』について3年間の研究成果をまとめた成果報告書を刊行する。ここでは、近代西洋におけるホッブズ以来のステイト、ネイション・ステイトをめぐる思想史を概観しつつ、その中でカントの世界市民社会概念の占める格別に重要な意義を解明することに努めた。
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