2007 Fiscal Year Annual Research Report
修辞学、詩学、俗語文学におけるマニエリスム的造形原理の実証的・文献学的研究
Project/Area Number |
19652008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
足達 薫 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (60312518)
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Keywords | イタリア美術 / マニエリスム / 文学 / 修辞学 / 詩学 |
Research Abstract |
研究実績の概要 日本でのイタリア美術史・思想史・文学史関連資の原典料の調査と研究 (1)マニエリスムの造形理論の形成と展開を、同時代の原典資料の中に跡付け、その整理を行った。とくにジュリオ・カミッロ『模倣論』『雄弁のイデア』におけるマニエリスム理論に注目し、昨年度のルネサンス研究会にて研究発表を行い、さらにそれを弘前大学人文学部紀陽に論文として掲載した。 (2)エラスムスとピエトロ・ベンボ、ジュリオ、カミッロの間で行われた「キケロ崇拝」およびラテン語文体論についての論争の経緯をたどり、マニエリスム様式の発生期の具体的議論を再構成しようとした。 2.ローマにおける原典資料の調査と研究 (1)ローマ国立中央図書館とカザナテンセ図書館を利用し、日本国内では難しかった諸点を補足する資料研究を行った(3月)。特筆に価するのは、ジュリオ・カミッロ『劇場のイデア』(1550初版)において、これまでの研究では特定されなかったいくつかの引用、とくにヒエロニムスとオリゲネスが語る影についての理論の典拠を特定することができた。 (2)マニエリスムの時代に新しい関心を呼んだ記憶術について、カザナテンセ図書館で開催されていた研究発表会に参加することができた。あらたな刺激をうけるとともに、自分の研究が世界規模の大きな流れの一端に連なっていることを自覚し、これからの研究にも拍車がかかった。ここに記して感謝したい。
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