2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19652031
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三上 英司 Yamagata University, 地域教育文化学部, 准教授 (30219597)
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Keywords | 諡号 / 人物評価 |
Research Abstract |
研究の2年目に当たる20年度は、諡法資料として周代から宋代までの諡法研究に資する文献を調査し一覧を作成した。また、諡法の適用に関する是非を論議である「諡議」に関する調査・分析では、周代から唐代に到るまでの「諡議」を史書・経書を基本にして抜き出し、資料を集めた。この成果は、次年度以降に収集する宋代以降の資料と合わせて「諡議資料集」として総覧を作成する。 研究初年度の研究を承けて進めていた「孔子諡号の変化」に関しては、王莽の儒家偏重政策が与えた影響を孔子の諡号が大きく受け、これが後世に引き継がれたことが判明した。そこで、前漢と後漢の諡法の差異を明らかにすることを優先し、孔子の諡号に関する研究成果の論文による発表を次年度に行うものとし、両漢の諡法についての分析を進めてきた。それはこれまでの先行研究では、新をはさんだ両漢期の諡法変遷は言及されることが少なかったからである。当該時代の贈与の実態を網羅的に明らかにすることによって、この時代におきた評価意識の変遷が具体的に把握できると予測される。この点における研究の進捗状況としては、現在、前漢の全贈諡例を概観できる資料を作成しており、この作業が終了し次第、後漢に関する同様の資料をまとめる。途中経過時点で判明したこととして、前漢期には、先秦時代には用いられることの無かった新しい諡号・諡法が運用されるようになった点を報告する。 また、諡法データベース作成過程において、四庫全書所収、宋・金履祥撰『資治通鑑綱目前編』巻六所載の金履祥注引『逸周書』「諡法解」が、『史記正義』所載のそれよりも『逸周書』「諡法解」古い姿を伝える文献である可能性を発見した。これまで作成してきた『逸周書』諸系統本所載「諡法解」のデータベースと比較しながら、次年度にその来源を考察する。
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