2009 Fiscal Year Annual Research Report
文禄・慶長の役(壬辰・丁酉倭乱)に関する比較文学的調査・研究
Project/Area Number |
19652032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樋口 大祐 Kobe University, 大学院・人文学研究科, 准教授 (90324889)
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Keywords | 壬辰倭乱 / 日本文学 / 歴史叙述 / 他者の表象 |
Research Abstract |
今年度は、まず韓国釜山の韓国海洋大学校の海洋文化学研究所の紀要『海洋都市文化交渉学』の創刊号に、壬辰・丁酉倭乱をめぐる日本側の表象の在り方について分析した論文を投稿し、掲載された。17世紀初頭の一向宗僧慶念の『朝鮮日々記』と20世紀後半の作家・小田実の小説『民岩太閤記』を扱い、特にそれらのテクストが他者としての朝鮮の人々にいかに向き合っているか・いないかということに焦点を当てて分析した。 また、朝鮮半島では、壬辰・丁酉倭乱において活躍した英雄や僧侶に関するおびただしい「伝」文学が残されている。しかし、その文学的意義を考察するためには、同時代の朝鮮半島文学における歴史叙述の伝統との関係性に於いて考える必要がある。そのような視点から、15世紀末に編纂され、後世の影響を及ぼした『東国通鑑』の叙述スタイルについて、日本の『本朝通鑑』と比較しながら分析した。 また、2010年3月にソウルの成均館大学校東アジア文化センターを訪問した。そして、その尊経閣文庫に所蔵されている資料を調査し、壬辰倭乱文学を含む朝鮮古典文学におはる歴史叙述をさらに深く研究するための資料的展望を得た。この点は今後、今年度採択された基盤研究(C)「東アジア「伝」文学の比較文学的調査・研究」においてより深めていきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)