2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19652034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 芳彦 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 教授 (20126022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 重広 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40283048)
山田 友幸 北海道大学, 大学院・文字研究科, 教授 (40166723)
中戸川 孝治 北海道大学, 大学院・文字研究科, 教授 (20237316)
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Keywords | 語用論 / 日本語学 / 動的側面 / 関連性理論 / 世界知識 / 構造的制約 / 論理的前提 / 発話行為 |
Research Abstract |
本研究は、語用論の動的側面の形式化を図ろうとするものである。本年度は、日本語において観測される語用論的制約の形態について検討した。 第一は、基本的な伝達の理論として関連性理論をすえた場合に生じる困難について検討し、その結果を日本語用論学会全国大会にて発表した。日本語は伝えたいことをすべて表層で言語化しなくても、推論によって補うことができることは表現しない傾向のある言語とされている。そのような傾向の中でも、言語化しなければならない事項を検討することによっていくつかの制約が存在することを確認することができる。そのひとつとして、存在論的前提を検討した。存在論的前提は否定文の場合語用論的に働くことが知られていて、伝達される表意にはならないことから、条件付の制約として働いていることが示された。 第二は、確定的な陳述が持つ制約を検討した。陳述の内容が世界知識を記述する場合、それが、誤った知識であることは可能であるが、世界知識の構造を覆すような内容であることは不可能である。このことを日本語ではどのように表現しているかについて論じた。その中核部分は研究協力者によって課程博士論文としてまとめられ、北海道大学大学院より文学博士が授与された。 第三は、ある種の言語行為にみられる制約について検討した。この件は分担者による別の科学研究費の研究と共通のテーマであり、情報の共有とともに、20年度に日本語における発現を発展的に研究する方途が得られた。
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