2007 Fiscal Year Annual Research Report
手話言語学における「一般手話音韻論」の構築に関する研究
Project/Area Number |
19652035
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
北村 一親 Iwate University, 人文社会科学部, 准教授 (80234277)
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Keywords | 言語学 / 手話 |
Research Abstract |
本年度は,まず最初に手話および手話が属する「身振り」に関する概念定義をおこなった。言語のみが有する特徴である二重分節性を規準として,「身振り」を二重分節されない身振り,すなわちノンヴァーバル・コミュニケーションと,二重分節される身振りに区別し,後者を狭義の「手話」すなわち手話言語とした。また音声言語の「身振り化」である音声言語対応手話を「擬似身振り言語」と称し,これと手話言語で広義の「手話」を形成するとした。本研究の主対象は身振り言語である手話言語としたが,擬似身振り言語である音声言語対応手話も完全に除外したわけではない。さらに,手話の特性に関してさまざまな角度から検討した。次に,はじめて手話が言語であることを証明したWilliam Stokoeのcherologyという手話分析の原点に返り,Stokoeの構造分析を再検討した。そして,諸般の事情から,本来は来年度に行なうはずであった諸外国において使用されている手話言語,とくにアメリカ手話,フランス手話,中国手話の考察を日本手話とともに前倒し的に行い,(ちなみにこの前倒し的研究を行なう可能性は研究計画調書にも書いた)来年度に向けての資料の整備に努めるとともに手話言語が普遍的に有する特性,とくに言語のプリミティヴな特徴を確認し,クレオール諸語とならんでバイオ・プログラムの可能性を模索する糸口とした。計画が前倒し的になったため,来年度の計画予定も特に記しておくが,来年度は本年度予定していた手話弁別特徴分析を中心とした手話音韻論(手話音素論)による分析を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)