2007 Fiscal Year Annual Research Report
市町村合併による方言の動向に関する会言語学的調査研究
Project/Area Number |
19652042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
都染 直也 Konan University, 文学部, 教授 (30179999)
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Keywords | 方言変化 / グロットグラム / 言語地図 / 出雲方言 / 石見方言 / 伯耆方言 / 兵庫県高砂市方言 / 静岡県庵原郡方言 |
Research Abstract |
2008年度は、調査を計画していた地域のうち、島根県東部地域に重点を置いて調査研究を行なった。その他地域としては、姫路市において次年度以降の調査研究のための予備調査を実施した。 島根県における調査の結果は、グロットグラムを作成し、『JR山陰本線石見福光-松江-伯耆大山間グロットグラム集』として刊行した。当地域は、現在、西から大田市・出雲市・簸川郡斐川町・松江市であるが、邇摩郡温泉津町・仁摩町が大田市に、簸川郡多伎町・湖陵町が出雲市に、八束郡宍道町・玉湯町が松江市にそれぞれ合併した。高年層における伝統的方言の境界線が合併前の旧行政区画に一致する例をいくつか確認することができたが、地域内での人的交流の変化により、今後は大きくその様相を変えてゆくものと思われる。 今年度の調査による成果ではないが、2002年度に調査された、兵庫県高砂市と、静岡県庵原郡富士川町・由比町・蒲原町の芳言資料をそれぞれ『兵庫県高砂市言語地図』『静岡県庵原郡(富士川町・由比町・蒲原町)言語地図』として刊行した。高砂市は姫路市に隣接するが、通勤・通学において、神戸方面とのつながりが深まりつつあり,他市との合併はないものの、方言変化の動向が注目される地域である。静岡県庵原郡のうち、蒲原町はすでに静岡市に吸収合併され、現在は静岡県清水区の一部になっており、今回の資料が今後の方言変化を捉えるうえで重要な資料になるものと思われる。 今年度の研究成果は、市町村合併という言語外の要因による方言変化に関する研究の基点になるものと位置づけており、次年度以降は異なった地域における調査研究を実施するとともに、音声・語彙・文法・表現法といった多岐にわたる資料収集を目指したい。
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