2007 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法理論における統語構造から形態音素形式への線状化形式写像システムに関する研究
Project/Area Number |
19652044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊島 孝之 Kyushu Institute of Technology, 情報工学部, 准教授 (40311857)
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Keywords | 英語 / 言語学 / 外国語 / 認知科学 / グラフ理論 / 生成文法 / 統語構造 / 線状化 |
Research Abstract |
変形生成文法理論で最新の極小主義理論において問題とされる統語構造から形態音素形式への線状化に関し、統語構造が持つ階層性と、その生成に潜む回帰性の問題があるが、今年度はまず逆問題として、線状的形態音素形式から統語構造生成に内在する回帰性が推察可能かという問題を取り上げ、乳幼児による自然言語習得をモデル化した自己組織化マップ人工神経回路網による記号列判別シミュレーションを行った。実験には、英語の句構造規則を回帰適用せずに生成可能な範疇記号列を用いて訓練し、回帰生成した範疇記号列とランダムに生成された範疇記号列との判別を行った結果、正解率約97%であった。自己組織化マソプは非教師型学習機構であり、正データのみによる訓練での新規データ判別実験である。実験では、いわゆる自然言語が示す移動(転置)現象に相当する記号列は含まず、文脈自由言語レベルのシミュレーションであったが、生成過程に潜む回帰性を学習できたと結論づけた。この成果については、国際会議で口頭発表した(学会発表1)。 次に、自然言語が示す移動(転置)現象は、移動先と基底生成位置との距離が線状的には不定であり、その統語構造から線状的形態音素形式への写像関係が問題となるため、極小主義理論での移動現象の局所性について、研究を進めた。結果として、これまで一般に提案されている局所性制約はすべからく表示的であり、派生論を採る極小主義理論には不相応であるため、派生的局所性原理を提案し、特定の構文での過剰生成を防ぐためだけに提案されたが、莫大な演算量を含意し、理論的存在意義に疑問の残る『語彙副配列』を廃止すべきとの結論を得た。この成果についても、国際会議で口頭発表した(学会発表2)。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Learnability of Recursion in Language2007
Author(s)
Takashi Toyoshima & Fuminori Mizushima
Organizer
Biolinguistic Perspective on Language Evolution and Variation Conference
Place of Presentation
Universita Ca' Foscari di Venezia: Venezia, Italy
Year and Date
2007-06-04