2008 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法理論における統語構造から形態音素形式への線状化写像システムに関する研究
Project/Area Number |
19652044
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊島 孝之 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (40311857)
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Keywords | 英語 / 言語学 / 外国語 / 認知科学 / グラフ理論 / 生成文法 / 統語構造 / 線状化 |
Research Abstract |
最新の変形生成文法理論での統語構造から形態音素形式への線状化において、自然言語が示す移動現象は語順の変化を伴うため問題となるが、昨年度に引き続き、まず極小理論にわける移動現象の局所性についての研究を進めた。位相理論において提案されている局所性制約としての『位相』概念は、『語彙副配列』により定義されるが、後者の決定には指数関数的演算量が含意され、極小主義における演算経済性に欠け、派生過程の一段階ごとに動的に統語操作を選択可能とする『動的派生経済原理』を提案し、『語彙副配列』は必要なく、従って『位相』概念そのものの見直しが必要であるという帰結を得、論文として公表した(図書1)。 また、これまで極小理論での「移動」操作は、「複写」操作と「併合」操作の組合せによる連鎖形成と音形部門での現物削除と見なされてきたが、最近はこれらの操作及び概念の余剰性が問題にされ、「移動」操作は単純な『再』併合とみなす説が出されており、それに従うと移動操作後の統語構造はグラフ理論上は「木」ではなく、有向開路グラフの一種であり、「木」の巡回探索アルゴリズムを改良する必要があり、次数2以上の頂点での経路選択をパラメターとするアルゴリズムにより西洋語等の顕在的移動現象を示す言語と、日本語等の移動が潜在的な言語との類型論的分析が可能である事を見いだし、国際学会で口頭発表した(学会発表1)。 さらに、最近の変形生成文法理論での統語構造から形態音素形式への線状化について一般に受け入れられている「線形対応公理」は、最新の極小理論で採用されている「裸句構造」理論との互換性に問題があり、本研究課題の着想を得たグラフ理論上の「木」巡回探索アルゴリズムの適用も、移動現象に関して経験的問題がある事が判明した。そこで裸句構造に適応可能な有向開路グラフ巡回探索アルゴリズムを考案し、国際学会で口頭発表した(学会発表2)。
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Research Products
(3 results)