2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会科学の学術日本語能力測定試験開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
19652046
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
五味 政信 Hitotsubashi University, 留学生センター, 教授 (00225674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庵 功雄 一橋大学, 留学生センター, 准教授 (70283702)
石黒 圭 一橋大学, 留学生センター, 准教授 (40313449)
今村 和宏 一橋大学, 経済学研究科, 准教授 (80242361)
西谷 まり 一橋大学, 留学生センター, 准教授 (80281004)
青木 人志 一橋大学, 法学研究科, 教授 (00210998)
|
Keywords | 日本語教育 / 学術日本語 / 能力測定試験 / アカデミック・ジャパニーズ / コーパス / 試験開発 / 講義の日本語 / 社会科学の日本語 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトでは、平成19年度、社会科学分野の学術日本語能力測定試験の開発に当たって、測定試験の目的・目標基準・試験の内容・試験の方法・構成概念等の基本的な事柄について検討し、「能力測定試験の構想」を確認する作業を行なった。次に社会科学分野の学術日本語能力測定試験を開発するための「基準作り」を、学術日本語を構成する「書き言葉」と「話し言葉」の両面から行なった。書き言葉に関しては、大学1、2年生の教科書10冊を対象とした、コーパスの原型となるデータが手元にすでにあり、当該コーパスの完成度を高めるため専門分野の論文を参考としつつコーパス化を行なった。また、話し言葉に関しては、研究分担者2名の協力を得て、本学社会学部の1年生向け科目「社会科学概論」の授業(90分)2回と商学部の「金融概論」1回をVTR録画し、講義を書き起こしてスクリプトを作成した。社会科学分野の「講義の日本語」の姿を明らかにするため、講義と同様の内容の書き言葉と比較し、講義の日本語の特徴の分析を進めた。データは3回の講義の日本語であり、ケーススタディの段階ではあるが、講義の日本語ではフィラー「まぁ」に特別な使われ方があること、接続詞「で、」が辞書的な意味とは異なる意味で多用されること、「あるいは」「つまり」を用いた言い換えが行われることなどが明らかとなった。同時に、講義を視聴した留学生にとって分かりにくい日本語は何かを調査した結果、漢語よりも和語(例:強いられる、[数字が]はじきだされる、覆る)が困難度が高い語彙であることが明らかとなり、これまで研究が手薄な「講義の日本語」の研究領域にとって意義のある研究作業となった。
|