2008 Fiscal Year Annual Research Report
外国語使用の流暢さ獲得の一側面:外国語のコロケーション処理における母語の影響
Project/Area Number |
19652055
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 淳子 Nagoya University, 大学院・国際開発研究科, 准教授 (00220335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 正利 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (80216308)
滝沢 直宏 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (60252285)
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Keywords | コロケーション / 母語の影響 / 母語媒介仮説 / 全体的処理仮説 / 反応時間 / 誤答率 / 翻訳対応関係 |
Research Abstract |
本課題の目的は、コロケーションレベルの処理能力における母語の影響を調べることを通じて、外国語の運用能力・語彙習得のモデルに理論的貢献をし、教育的知見を生み出すことである。2年目は計画通り、次のように1年目の実証研究を発展させた。まず、1年目の研究成果をイギリス応用言語学会で発表し、そのアブストラクトが2009年にProceedingsとして刊行されることになった。1年目はESL環境にいる日本人を対象として実験を行ったが、2年目はEFL環境にいる日本人にも同様の実験を行い、英語母語話者、ESL使用者、EFL学習者の3グループの比較から、発達的視点を取り入れた母語の影響を観察した。誤答率と反応時間の2つの視点から調べると、母語の影響は誤答率(知識の習得)により長期にわたる影響を与えていた。つまり、ESL使用者、EFL学習者どちらも、母語にない英語のコロケーションは誤答率が高かった。一方、反応時間(獲得した知識の処理速度)への影響はESL使用者になるとなくなった。この結果は次のことを示唆すると考えられる。 1 L2メンタルレキシコンが母語にないコロケーションを受け入れるにはかなりのインプットが必要(母語にないコロケーションの習得には時間がかかる) 2 習得したコロケーションも初期の段階では母語に訳しながら理解する過程を通る 3 習得したコロケーションの処理過程の母語への依存はインプットの増加と共になくなる 来年度は、母語にはあるが英語にはない語の組み合わせを項目とし、母語の影響をさらに調べる予定である。
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