2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19652064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30261259)
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Keywords | 露米会社 / 北方世界 / 千島列島 / アイヌ / 樺太・千島交換条約 / 植民地 / アラスカ |
Research Abstract |
本年度は以下の三つの資料の収集と分析を行った。第一は、ロシア国立海軍文書館の露米会社の経営に関する史料群である。この資料は北海道大学にほぼ同様の史料が所蔵されている(File Microcopies of Records in The National Archives RECORDS OF THE RUSSIAN-AMERICAH COMPANY 1802-1867)。この史料の分析により露米会社の動向を解明した。さらに、文書番号410・2・1016を収集することに成功した。この文書は、クリミヤ戦争期においてロシアが植民地経営を露領アメリカ(アラスカ)から沿海州地域に変更する契機となった外交問題に関係する資料群であり、本年の調査における最も大きな成果であった。 第二は、ロシア国立中世法令文書館の近世後期におけるクリル諸島関係の史料群である。本資料により近世後期の日本とロシアの関係を解明することができた。特に、ラクスマンの資料を解析することで、日本へのラクスマンの派遣がロシアの露領アメリカ(アラスカ)経営との関連から推進されたことを解明した。 第三は、ロシア国立極東文書館の資料を収集した。特に、1867年にロシアが露領アメリカをアメリカに売却し露米会社が崩壊した後のクリル諸島のアイヌの動向を解明した。これに対応する日本側資料として北海道立文書館において関係資料を写真撮影した。特に『千島事務雑録』および『千島関係書類根室県庶務課』は樺太千島条約前後の千島列島の状況を詳細に記しており、露領アメリカの売却が惹起した環太平洋の海洋秩序の混乱に対する明治政府の対応策を解明することができた。 これらの分析を踏まえて、露米会社崩壊後の千島列島の問題について論文を発表した。
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