2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世山岳寺院を「中世都市」として分析するための基礎研究-越前国平泉寺を素材に-
Project/Area Number |
19652065
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
仁木 宏 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 准教授 (90222182)
|
Keywords | 中世史 / 宗教都市 / 平泉寺 / 聞き取り調査 / 根来寺 / 比較都市史 |
Research Abstract |
研究協力者である宝珍伸一郎・阿部来(ともに勝山市教育委員会)と共同で調査の準備を進め、8月9日〜11日、平泉寺旧境内地に広がる平泉寺地区の住民のみなさんから聞き取り調査を実施した。また9月6日〜8日、補充調査を実施した。この両次にわたる調査によって、平泉寺地区に残る旧地名、伝承などを網羅的に収集するとともに、近年の開発によって大きく変化する以前の、付近の景観についての重要な情報を得た。調査の成果を継続してまとめ、来年度の報告書刊行に向けて基礎作業をつづけた。 12月15日〜16日、勝山市教育会館において、白山文化研究会・勝山市と合同で、平泉寺シンポジウム2007「戦国時代の平泉寺」-紀伊国根来寺とくらべてみよう-を開催した。勝山市長をはじめとする市民のみなさんや全国から集まった研究者など、200名以上が参加した。山岳宗教都市の相互比較については、これまでほとんど試みられたことがなかったが、全国的に見ても研究が最も進んでいる平泉寺と根来寺を比較することで、新たな比較の方法を提案するとともに、都市としての性格の異同を具体的に明らかにした。 これまで、考古資料、文献史料によって解明されてきた平泉寺について、伝承や微地形の分析によって、新たな側面から解明する糸口を見いだそうとする本研究の目的は達成されつつある。また、他の「都市」と比較検討する方法論を発見したことによって、今後、山岳宗教都市の最盛期の年代比定や性格規定などを実施するための有力な指標を獲得した。
|