2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本在台湾海外事務所の設立過程に関する調査研究-戦後日中関係史の再構築にむけて
Project/Area Number |
19652066
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
張 宏波 Kwansei Gakuin University, 言語教育研究センター, 講師 (00441171)
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Keywords | 日中関係 / 日本在台湾海外事務所 / 蒋介石 / 対日講和 / 戦後処理 / 反共連携 / 留用 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦後初期の東アジア国際関係を、殆ど注目されてこなかった日本と中国の主体性を中心に捉え直すにあたって必要な歴史的史料を収集することにあった。とりわけ、1948年の貿易再開から1951年の「日本政府在台湾海外事務所」の設立・準政府関係の形成に至る経済交流のなかに「主体性」が見出せると考え、台湾で近年公開が進んでいる当時の史料を収集することを第一の課題とした。 しかし、大陸出身者であるため、台湾へ渡航する手続きが難航し、調査計画の変更を余儀なくされた。2年目に予定していた北京の外交部档案館(12月)や日本外務省外交資料館(2月・3月)での史料調査を前倒しし、さらに、台湾へは現地および日本国内の日本人協力者(1月・3月)に代行してもらった。 入手できた主な史料群とその内容は以下の通りである。(1)「研究美対日和約問題及我之対策」等(北京):講和主体から排除された中華人民共和国政府の情勢認識や、間接的な講和への働きかけが伺える。(2)「駐日代表団総合報告」「日本科技人員羅致」「台湾省商人対日貿易弁法」「開辟台日航線」「中日商談台日航線」「日本派遣海外商務代表」等(台湾):占領下で外交権を喪失していたにもかかわらず準政府関係を意味する在外事務所を各国に設置しようとしていた日本側の動きに対して、中華民国政府としての対処策を検討・協議していた内部資料。(3)「蒋中正総統文物」(台湾):日本の降伏後、連携して共産党側に対抗しようとしていた日蒋双方の勢力が接収・戦犯処理の過程から協力関係を作り始め、戦後「日台関係」と呼ばれる緊密な連携に発展した。その反共連携政策の計画書や、日本の軍人・技術者を集めるための文書群。(4)「中華民国要人本邦訪問関係雑件」等(日本)。 2年目は、中華民国政府と日本側との直接的やり取りを記した史料を引き続き国史舘で発掘することが中心的課題となる。
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