Research Abstract |
本年度は,本研究課題に関連する史料状況を把握するため,ミャンマーへの現地調査を実施し,文書の閲覧,収集をおこなったほか,国内では英領期ビルマ史の基礎的史料を入手し,これら文献の分析に着手した。 まず現地調査については,2007年8月19日より8月30日までミャンマーへ出張し,国立公文書館を訪問した。閲覧した文書は,1880年代から90年代にかけて,ビルマ南部のバセイン県,ピャーボン県(いずれも当時)の県庁において作成された文書である。ビルマ人行政官の任免など行政にかかわる文書,道路やマーケットの整備,設置などインフラにかかわる文書により,植民統治初期の行政制度や地域社会形成についての知見を得た。また,本研究課題に関連すると思われる膨大な文書が所蔵されていることが再確認されたので,同館の所蔵目録を入手,帰国後,関連文書の抽出作業を開始した。この作業にはある程度の時間を要するものと思われるが,この基礎作業により,今後の調査研究の進捗が期待できるとの見通しを得た。 国内では,英政庁作成の植民統治関連文献のマイクロフィルム集成(Delineating British Burma,British Confidential and Official Print,c.1826-1949)の一部を購入した。本史料は,ビルマ統治全体にかかわる文献を含むもので,ミャンマー国立公文書館の文書と対比することにより,英領ビルマという枠組みのなかに,デルタ地域社会がどのように位置づけられるかについて示唆をあたえてくれるものである。
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