2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける伝統的地理思想よりみた沖縄の抱護林
Project/Area Number |
19652073
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
澁谷 鎮明 Chubu University, 国際関係学部, 教授 (60252748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一馨 財団法人東方研究会, 研究員 (50280657)
浦山 隆一 富山国際大学, 地域学部, 准教授 (10460338)
山元 貴継 中部大学, 人文学部, 講師 (90387639)
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Keywords | 東アジア / 伝統的地理思想 / 抱護林 / 沖縄 / 風水 / 地籍資料 / 資源管理 / 景観復元 |
Research Abstract |
本年度は、まずこれまで代表者の澁谷と分担者の浦山が行ってきた沖縄・八重山諸島における抱護林に関する調査の整理を軸としながら、これまでの各メンバーの、風水など東アジアの伝統的地理思想に関する研究蓄積の整理を行った。特に6月には中部大学鶴舞キャンパスにおいて合同研究会を開催し、本課題の研究対象である沖縄の抱護林と東アジアの伝統地理思想の関連性について討論を行うとともに、現地調査の打合せを行った。 さらに沖縄における現地調査を実施し、それを元に、これまで沖縄村落の基本的な要素とされながらも、集中的に研究されてこなかった沖縄の「抱護林」の把握に務めた。8月には全メンバーが参加し、沖縄宮古諸島の多良間島において、現存する抱護林の現地調査を行うとともに、その後澁谷・浦山・山元が、第二次大戦後に消失している八重山諸島石垣島四箇村、およびの抱護林の復元調査を行った。その結果、抱護林帯に数メートルの「カー(深井戸)」が存在するなどの水との関わり、あるいは消失しても共有地としての利用が続くなど、これまでの「抱護林」像とはかなり異なる実態が把握された。なお石垣島においてはこれまで澁谷と山元が扱ってきた、戦前期の地籍図を用いた復元が有効であった。11月には分担者の浦山と協力者の鎌田が沖縄本島の集落の抱護林についても調査を行った。この調査からは、村を囲む「村抱護」の感覚が離島よりも弱いなど、興味深い結果がもたらされた。 これらの結果をもとに、2月には中部大学鶴舞キャンパスにおいて研究会を開催し、研究成果の確認と情報共有を行った。協力者の鎌田の研究発表などを中心に議論を重ね、今後、抱後林の共有地としての資源管理の側面や、風水や育林法などの伝統的地理思想との関わり、東アジア全体の中での位置づけのため、韓国・台湾などとの比較研究の必要性が理解された。
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Research Products
(4 results)