2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける伝統的地理思想よりみた沖縄の抱護林
Project/Area Number |
19652073
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
渋谷 鎮明 Chubu University, 国際関係学部, 教授 (60252748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 貴継 中部大学, 人文学部, 准教授 (90387639)
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (10460338)
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Keywords | 地理思想 / 東アジア / 沖縄 / 風水思想 / 抱護林 / 裨補 / 韓国 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度行なった沖縄の抱護林そのものに関する研究をさらに深めると共に,韓国にある同様の人工林,「神補林」との比較のため,韓国における現地調査,および韓国人研究者との共同研究を行った。 7月には中部大学において研究会を行い,これまでに得た沖縄の抱護林に関する知見を共有した。この討議の結果,沖縄の近世由来の村落では重要な要素のはずである「抱護林」の研究が予想外に少ないこと,また「抱護」の思想は本来形勢派風水の影響ととらえられること明らかになった。 さらに9月2-9日に,研究協力者である崔元碩氏(慶尚大学研究教授),金鐘赫氏(高麗大学研究助教授)とメンバーが共同で,韓国南部智異山周辺の禅補林についての現地調査を実施した。さらに2月11-16日には,この2名の共同研究者を沖縄に招へいし,昨年度調査を行った多良間島や沖縄本島の集落において,共同調査と討議を実施した。この結果,風水や「気」などの論理で人工林を整備・保全する点は抱護林と類似するが,本来韓国における「稗補」の論理の方が包括的である点,韓国に強くみられる気の観念が沖縄においてはやや弱いと思われる点などの相違点が理解され,両者の比較研究の必要性が感得された。 また,連携協力者である鈴木の調査(3月3-5日)結果と,3月3月6-7日研究会の結果,抱護林の類型化を通じて,背後に湿地帯を持つ海沿いの微高地に立地し,周囲が抱護林に囲まれた新たな沖縄の集落モデルの存在が理解された。
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Research Products
(4 results)