2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国における企業文化・企業法秩序生成の法史学的研究
Project/Area Number |
19653001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 健太郎 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 准教授 (20242068)
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Keywords | 基礎法学 / 法史学 / 比較法学 |
Research Abstract |
本研究において、平成19年度から平成20年度に繰り越された課題は、Columbia Law Schoolにおける聞き取り調査及び、Stanford大学Hoover研究所におけるJames Hayes Collectionの調査であった。前者は、現代中国の企業文化を形成する大きな要因となっているアメリカ合衆国との相互作用の中で、従来着目されることの殆どなかったアメリカへの留学生の教育及び留学生同士の人脈形成(特にアメリカの名門ロースクール・ビジネススクールでのそれ)がもつ役割につき、聞き取り調査を行うものであった。特に90年代末以降急速に進む(80年代から継続的に米国に留学した)人材の帰国を中心とする人の往来とそれに伴うアメリカ的なビジネス上の慣行・制度運用の在り方の浸透、更にはもともと存在したある種のエリート層(典型的には80年代に共産党幹部等の子弟を中心に都市部「重点中学校」(日本で言う高等学校の水準)出身者が或いは学部レヴェルで、或いは大学院レヴェル(とりわけアメリカの名門ロースクール・ビジネススクール)で、アメリカに留学し、その過程で他地域の出身者がアメリカで新たに全中国的なネットワークを築き、これが更に多数の元留学生が帰国する中でアメリカ各地の大学への留学系傾斜同士の交流で強化される、という過程をコロンビアロースクールへの留学生及びそれを受け容れる側の体制を担う人々への聞き取り調査で再構成・確認することができた。これが中国での新興ネットワークとして企業文化・企業法秩序の在り方に影響を与える様も、明らかになりつつある。後者については、香港新界で行政官として精力的に資料収集を行ったJames Hayes博士の寄贈した民間文書資料の整理が相当程度進んでようやく閲覧が可能になった段階で、これを検討する機会となった。これにより、企業文化・企業法秩序の伝統中国的なプロトタイプとされる宗族・村落のあり方の解明が進められたと言える。
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