2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19653005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山形 英郎 Nagoya University, 大学院・国際開発研究科, 教授 (80222363)
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Keywords | 国際法 / 民主主義 / 住民保護責任 / ジェノサイド / イラク戦争 / アフリカ連合 / 大量破壊兵器 / 人道的干渉 |
Research Abstract |
第一に、民主主義を保護する責任の展開について研究を行った。住民保護責任が、イラク戦争を正当化するために利用されたことから、民主政を回復するために住民保護責任が主張されるようになったことを明らかにした。住民保護責任が、大量破壊兵器阻止義務へ拡大し、さらに民主主義保護責任へ拡大した流れを検証した。しかし、住民保護責任で民主主義擁護のための介入が現在でも国際法上認められていないことを論証した。 第二に、ジェノサイド適用事件の研究を行った。住民保護責任がジェノサイド、民族浄化、戦争犯罪などの状況にある国家への国際社会の責任を主張するものであることから、ジェノサイド防止義務が国際社会に実定国際法上存在するかどうかを明らかにする上で、重要な事件である。この事件の中で、国際司法裁判所は、地理的近接性及び政治的結びつきから、ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるジェノサイドを防止する義務がセルビアにあると判示した。こうした判断は、ジェノサイド条約当事国に限られるとはいえ、住民保護責任を擁護する理論的根拠となりうることを明らかにした。 住民保護責任の新たな展開として、アフリカ連合における住民保護責任条項が挿入されたこと、ILCにおいて自然災害時における国際社会の責任について検討が始まったことが挙げられる。次年度の研究対象となる。
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Research Products
(3 results)