2007 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀リスク論とアスベスト被害補償法の実践的・理論的検討-塵肺問題との比較で
Project/Area Number |
19653009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 克美 立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (40309084)
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Keywords | リスク社会 / アスベスト / じん肺 / 不法行為 / 蓄積・潜在損害 |
Research Abstract |
本年度は、アスベスト問題の実態調査に当てられ、第1に、国内調査としては、(クボタ調査以外に)大手関連企業である奈良王子のニチアス工場を訪問して、被害労働者の実態、補償への取り組みなどの聞き取り調査を行い、さらに、泉南地区のアスベスト汚染地区の患者集会に参加して、被害者との交流・インタビューを通じて、被害調査ないし救済の限定性の事実把握を行い、さらに、同地区の国賠訴訟を担当する池田直樹弁護士と法的問題点を議論した(2007年8月)。 第2に、海外調査としては、毒性の強いアスベストであるトレモライトの世界有数の産地である米国モンタナ州リビーを訪問して、被害者・関係医師の調査による現在の被害救済状況、アメリカ医療体制の問題(被害者のアクセスの限定)などの把握に努めた(2007年5月)。また、わが国と比較的問題状況が類似する韓国にも足を伸ばし、アスベスト管理協会の正・副委員長や環境保護団体の事務局長などと対談し、被害実態の教示を受け、具体的にソウルの地下鉄のアスベストむき出しの状況、釜山の大手アスベスト企業の対応状況などの把握に努あた(2007年7-8月、2008年3月)。これらの調査を踏まえた比較検討は、次年度以降の課題である。 なお関連する基礎理論的研究として、広く補償理論の研究も並行して行い、事例的にその他、在韓被爆者の補償問題なども検討を進め、大邱・陝川などの実態調査(被爆者からの聞き取り)を行った(2008年2-3月)。
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Research Products
(3 results)