2008 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀リスク論とアスベスト被害補償法の実践的・理論的検討-塵肺問題との比較で
Project/Area Number |
19653009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 克美 立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (40309084)
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Keywords | アスベスト / 塵肺 / 補償 / 蓄積的損害 / 因果関係 / 消滅時効 / 中皮腫 / リスク |
Research Abstract |
今期の研究は、(1)アスベスト被害に直接関係あることの実態調査および(2)その関連問題、さらには、(3)こうした広範な補償問題広く不法行為制度による救済の在り方の研究に分けられる。 (1)に関しては、アスベスト被害の草の根レベルでの実態調査を最も詳しく行っている、東京労働安全衛生センターを訪問して、その所長の古谷杉郎氏に面会して、(1)立法の比較法的状況、また(2)アスベスト救済法の改正の方途(アイヌ新法の場合と同様に、一旦不十分なものを制定した場合のその改正の実際上の困難さ)などを話し合った(11月)。 アスベスト被害にかかわる大規模訴訟としては、泉南地域の国賠訴訟(これについては、被害者の実態調査を前年度行った)のほかに、首都圏地域の訴訟があり、これに関する研究会に松本が参加し(2009年1月)、さらに、同教授は、立命館大学の国際アスベストシンポに参加し(11月)、さらに釜山大学のアスベスト関連疾患研究センターへの出席(2009年1月)を行った。 (2)としては、長期間かけて進行する原子力発電などの放射能リスクの被害問題への研究を開始し、操業をストップしている新潟刈羽原発および青森六ケ所村のサイクル施設を見学した(6月、12月)(さらに六ヶ所問題については、シンポ出席(2009年3月))。 さらに、(3)に関しては、不法行為制度ないし補償の制度的意義をかねて考えてきており、秋の私法学会では、この点を扱う個別報告に関与し(10月)、講義録も刊行し(12月)、さらに同学会での民法改正論議については、特に本研究に関する時効法改正との関連で、批判的見解を公表した(12月)。また、大規模被害の国際的問題(特に日韓入補償問題、その時効問題)について現地調査(2008年2月、2009年3月)については、成果を公表し、歴史和解に関する国際シンポ(7月)にも討論参加した。
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Research Products
(7 results)